六花咲きて巡り来る 六花咲きて巡り来る (一) ──只白い世界にとけてゆきそうな中を、頼りない浮舟のように、朦朧と漂っていた。降りしきる白い花のような雪の中にいる筈なのに、けれどどうしてか、少しも寒くはない。 「……光。夜光……」 と、自分を呼ぶ声と、肩を揺する感覚。ふっと、夜光は意識... 2024.10.27 六花咲きて巡り来る妖は宵闇に夢を見つ 蓬莱編
六花咲きて巡り来る 六花咲きて巡り来る (序) 音も、風景も。何もかもが、白の中に吸い込まれるようだった。 只、静寂。白い世界の他には何も見えない。声も足音も、ちょっとした息遣いさえ、広がる白さの中にとけてゆく。 ──ああ。雪だ。 見上げると、音も無く舞い落ちてくる綿毛のようなもの... 2024.10.27 六花咲きて巡り来る妖は宵闇に夢を見つ 蓬莱編