六花咲きて巡り来る

六花咲きて巡り来る

禍夢 (七)

「そういうことか……」 読み取った洪水のような情報と、長いこと限度を超えて集中し続けたせいで、頭がふらついた。事態を把握したことで、一瞬気が緩む。ふっと、そのまま意識が落ちそうになる。 身を支えることが出来なくなり、そのまま棒のように横ざま...
六花咲きて巡り来る

禍夢 (六)

颯介が階段をまろぶように駆け上がって、逃げてゆく。それを秋人は一瞬追おうとしたが、この場の状況のあまりの異常さに、そうすることが出来なかった。 ぐるりと室内を見渡す。壁際に、赤黒い炎をまとったものが落ちている。あれは、この祠におさめられてい...
六花咲きて巡り来る

禍夢 (五)

身に迫ってくるような暗闇は、まるで質量を伴っているように感じられた。手燭を掲げていても、ほとんど手元と、数歩先がぼんやり程度にしか見えない。 こんなところで、間違って足を滑らせたら大事になる。颯介は片手を壁に添えながら、慎重に、ゆっくりと石...
六花咲きて巡り来る

禍夢 (四)

颯介は一人、湖の中央にある小島を訪れていた。 神聖なる禁域とされている場所だから、里長の息子とはいえ、人目につくと面倒くさい。ただ、もし何かあったときのために、屋敷の下女にだけは、ここに来ることを言い置いておいた。 目立たないように小舟を出...
六花咲きて巡り来る

禍夢 (三)

夜間ににわかに湧いて空を塞いだ雲は、翌日には風に流されていた。 昨夜はあれから、秋人はすぐに書庫に籠もって代々受け継がれてきた守り人の文献を調べ始め、槐はまた表に出て社殿の護りに当たっていた。「日があるうちは、相手はそう活発ではない。様子を...