六花咲きて巡り来る

六花咲きて巡り来る

禍夢 (二)

秋人がかいつまんで状況を説明する間、颯介はじっと黙り込んで話を聞いていた。とはいっても、説明自体はそう長いものでもなかった。 秋人の言葉が途切れると、颯介は深々と息をつき、前髪を掻き回すようにしながら唸った。「ええっと……つまり、何だ? ま...
六花咲きて巡り来る

禍夢 (一)

あれほど晴れていた夜空には、いつの間にか重い靄雲が垂れ込め、天からの明かりを遮っていた。 かつてない大きな地震に、祭りに興じていた人々はすっかり肝を潰し、一転して恐慌に見舞われていた。 湖畔に設営されていた神饌台は崩れ落ち、祭櫓には篝火から...
六花咲きて巡り来る

幕間 ─ よみがえり ─

「…………っ!、あっ……!」 自分の胸元を掻きむしるようにしながら、夜光は跳ね起きていた。 地獄の炎に炙られているように、全身が熱い。肌がじくじくと焼け爛れてゆくような、恐ろしい熱さと苦痛に、悲鳴を上げたくても上げられない。 その様子に気が...
六花咲きて巡り来る

曲夢 (十五)

「っっっはーーーーー。つっかれたああぁーーー」 戻って来た社殿の控えの間にて。ぐん、と全身を思い切り伸ばして、小夜香は爪先まで大きく伸びをした。亜矢が持ってきてくれた水を一気にあおり、ぷはーっと息を吐く。「うっまあーーい。亜矢ぁ、水がうまい...
六花咲きて巡り来る

曲夢 (十四)

金色の大きな満月が、澄んだ濃紺の夜空に昇っている。夜の王に付き従うよう、見渡す限りの晴れた夜空に、降るような星々がきららかにまたたいている。 神楽殿の袖、他の誰からも見えない場所に、白布で囲われたささやかな斎垣(いがき)が設置されている。小...