夜間ににわかに湧いて空を塞いだ雲は、翌日には風に流されていた。
昨夜はあれから、秋人はすぐに書庫に籠もって代々受け継がれてきた守り人の文献を調べ始め、槐はまた表に出て社殿の護りに当たっていた。
「日があるうちは、相手はそう活発ではない。様子を確認しながら、広い範囲を警戒しておく」
と、朝になると槐はどこへともなく姿を消していった。
「敵だと厄介この上ないが、味方となると素直に心強いな、あいつは。悔しいけれど」
完全な味方だ、とも言い切れなくはあるが。今は少なくとも、あの槐と共同戦線を張れただけでも上等とするべきだろう。
颯介も、夜が明け始めた頃に、一度社殿にやってきた。そのときは小夜香は眠り込んでいたから、少し顔を見ただけですぐに去っていったが、小夜香の状態をあらためてその眼で見て、強い衝撃を隠せずにいる様子だった。
「颯介。少し話をしないか」
と、そのときも秋人は声をかけたのだが、颯介は秋人を僅かに見返っただけで、無言で去って行ってしまった。
「どうやら俺は、颯介の中で、敵側だと認識されてしまったらしいな」
思わず溜め息が落ちた。今は仲違いしている場合ではない、と思うのだが、しかし颯介はそもそも蛇神の存在に懐疑的で、秋人ほど現状を正しく把握できていない節がある。
だがそれも、長年里に伝えられてきた、生まれた頃から親しんできた龍神信仰の否定、さらにいえばそれを秘匿していたのが他ならぬ秋人、龍神の守り人であるという、それまでの常識や倫理を根底から覆す事態なのだ。颯介から見れば、二重の裏切りとも言えるかもしれない。おいそれと受け入れられずとも、無理のない話だった。
「分かって貰えるまで、何度でも話すしかないか……」
本当はそんな悠長に構えていられる事態でもないのだが、人の心はそう簡単には動かせない。ましてや一度失ってしまった信頼を取り戻すことは、容易ではない。
頭の痛いことばかりだったが、今は出来ることからやっていく他になく、秋人はまた書庫に戻っていった。
高台にある社殿のあたりからは、湖畔の祭り跡の様子も眺められた。昨夜の恐慌のままになっていたところに、三々五々、誰に促されるでもなく、人々が集まり始めて片付けを始めている様子が見える。あれから余震なども無く、一夜明けて太陽の下に明るくあたりが照らされたことも手伝い、人々は既に落ち着きを取り戻しているようだった。
昨夜のうちに確認しておいたところによると、不幸中の幸いというべきだろう、祭りで大半の人々が屋外に出払っていたことで、死者は勿論、負傷者もほとんど出ていなかった。ただ、壊れたり倒壊してしまった家屋はある。それらも冬になる前に、急いで復旧する必要があった。
湖の様子も、普段と変わりはないように見えた。中央の神島も、いつものように靄に覆われている。昨夜のあの現象は、やはり一時的なものではあったようだ。
しかし、一度は起きたことが、二度目に起きない保証はない。そして次に起きたときこそ、本当に蛇神が蘇るかもしれない。一見穏やかに見えても、まったく安心は出来なかった。
昨夜からの時間をずっと調べ物に費やし、小夜香のことも心配で結局一睡もしていない秋人は、眠い目をこすりこすり、正午をまわってから、やっと祭りの跡に足を運んだ。
「おや、秋人さん。随分眠そうですねえ。昨夜はあんなことになっちゃったから、そちらもさぞ大変だったでしょう」
「社殿やお屋敷は大丈夫でした? あの後ちゃんと一晩明かりが灯ってたから、大事はないんだろうとは思ってましたけど」
祭りの片付けをしながら、人々はつとめて明るく振る舞うように、そんな声をかけてきた。
それらをねぎらい、受け答えをしながら、ぐるりと人々の間を巡る。揺れたときに湖におかしな光を見た、という声はいくつかあったものの、昨夜の出来事はあくまでも「大きな地震のせいで、せっかくの秋祭りが残念な終わり方になってしまった」くらいの認識に落ち着いているようだった。
「こっちは自分らで片しますから、よければ秋人さんは戻って下さいよ。なんでも小夜香ちゃん、疲れが出たとかで寝込んじゃったんですって?」
「心配だわねえ。まあ、初めての秋神楽だったし、小夜香ちゃんも相当頑張って気を張ってたみたいだから。ゆっくり休んでくださいって、お伝えくださいね、秋人さん」
どうやら颯介は、小夜香の不調については人々に伝えたようだが、細かいことまでは伏せてくれたらしい。今小夜香の状態がそのまま伝わって、人々を恐怖や混乱で煽ることは得策ではなかったから、話を聞きながら秋人は安堵した。
「そういえば、颯介がいないな」
そこでやっと、あたりに颯介の姿がないことに気が付いた。こんなときは真っ先にここにやって来て、率先してあたりの片付けを進めていそうなものだが。
「ああ。颯介様は、なんだか朝から慌ただしくしているわねえ」
あたりを見回している秋人に、付近の者たちが思い起こすようにしながら言った。
「そうだなあ。ちょっと街まで行ってくる、って朝イチで出かけていったのを見かけたぞ」
「そうか……」
そういえば颯介は、明日になったら街に行って医者と祈祷師を呼んでくる、と言っていたのだったか。颯介も颯介なりに、状況を見過ごそうとは思っていないのだ。
もう少し颯介の理解と協力を得られれば、どんなにやりやすく心強いだろう、と秋人が思っていると、話を聞き止めたらしい女が、横から声を投げてきた。
「あれぇ? 颯介様、さっき戻ってきてたわよ。なんでも昨夜の地震で、街に行く道が崩れちゃって通れないみたいでさ。こっちが片付いたら、あっちも早いところ直さないといけないって。あとでちゃんとお達しがあるんじゃないかな」
「おや、そりゃまたえらいことだな。まあ、でっけえ地震だったからなあ」
くわばらくわばら、と人々がまた作業がてら地震の話に熱中し始めたところで、秋人はいったん引き上げ、社殿に戻ってきた。
颯介と話をしたかったが、とにかく気の張ることが続いた上、まったく寝ていないことがこたえていた。あるときからに急激に眠気が強くなり、歩いていてもなんとなく足元がふらふらする。
日中は蛇神のほうも大人しくしているようだし、先々を考えると、あまり無理をしすぎても良くない。ひとまず仮眠して、それから颯介のもとに行く方が、頭もすっきりして話しやすいだろう。
休む前に一度小夜香の様子を伺っておこうと、秋人は社殿の奥に足を運んだ。
社殿も昨晩は、落ちたものや倒れたもので散らかっていたが、真麻ら下働きの者たちが総出で片付けを進めてくれているおかげで、正面の拝殿や生活区域だけは、既にもうだいぶ普段の様子を取り戻しつつあった。
すれ違う彼女たちをねぎらいながら、秋人は奥の間に進んだ。小夜香の仮の寝所としている部屋に、そっと入り口の幕をよけて入ってゆく。
室内は、できるだけ暗くなるように板戸が閉め切られていた。朝、明るくなってから分かったことなのだが、小夜香が陽光の明るさをひどく眩しがって嫌うのだ。
ただでさえ弱っている小夜香に、これ以上の刺激は控えるため、すべて板戸は閉め切った。小夜香自身の周囲には、部屋の入り口からの直接の視線と明かりを遮る程度に、几帳置いている。真っ暗なのも小夜香の様子が分からないので、少し離れた位置に燈盞を置き、小さな明かりを灯してあった。
静かに枕元に座ると、小夜香は深く眠り込んでいた。昨夜、この状態で槐に運び込まれてから、小夜香はあまり眼を開けることがない。
あれからまだたいした時間は経っていないのに、眼の周りが落ち窪んで、もう長いこと床に伏せっている病人のように見える。小夜香を小夜香たらしめていたのは、あの太陽のように明るい眼差しと、くるくると良く変わる活力にあふれた表情だったのだと、今さらのように思い知らされる。
やつれた小夜香が長い睫毛を閉じて眠っていると、否が応でも秋人の眼には、そこにかつての小夜音の面影が重なって見えた。去年の冬、寒い雪の日に、眠るように息を引き取った小夜音。為す術も無くただ見守っていることしか出来なかった、あのときの小夜音の姿を、どうしても思い出してしまう。
「……兄様……?」
そのうち、かすかな呼び声がした。小夜香がいつの間にか、うっすらと眼を開けていた。
秋人は優しく微笑み、少しだけ小夜香のほうに身を乗り出すようにした。
「気分はどう? 何か飲む?」
「ううん……なんにも……」
小夜香はゆるゆると、小さく首を振る。それだけの仕種でも億劫そうだった。
秋人は手を伸ばし、小夜香の額髪を、そっと指先で梳いた。そのまま額に手をふれさせると、小夜香が細く息を吐きながら目を瞑った。
「兄様の手……つめたくて、きもちいい」
「そうか。少し額を冷やす?」
「ううん……兄様の手がいい」
小夜香はしばらく、そのまま眼を閉じていた。やがてまた、眠そうに瞼を開く。
小夜香の額にふれているうちに、その体温が移って、秋人の手はすっかり温かくなっていた。その手に、小夜香は子猫のように頬をすり寄せた。
「兄様……皆は、だいじょうぶ? 何も、おかしなことは起きてない?」
「うん。大丈夫。何も起きてないよ」
「そっか……。ごめんなさい、兄様。私、こんなことになっちゃって」
「莫迦だな。謝るようなことじゃないだろう」
「……うん……」
秋人が軽く笑って頭を撫でると、小夜香は気持ち良さそうに、またしばらく眼を閉じた。そのうちまばたいて、ぽつり、と訊ねる。
「今、槐は?」
「今は、ここにはいない。何か変わったことがないか、そのあたりを見て回ってくれている。ああ見えて、あいつはけっこう働き者だね」
秋人の言葉に、小夜香はくすりと笑った。
「兄様は、槐のことがきらい?」
急に直球で訊ねられて、秋人はやや面食らった。
「うーん……好きか嫌いかと言われれば、うーん…………難しいな」
槐のことをすこぶる気に入っているらしい小夜香の前で、あまり悪く言うのも気が引ける。それに、単純に好き嫌いで評価できない相手でもあった。
しばらく考えて、ゆっくり秋人は答えた。
「……正直、厄介な奴だとは思うよ。でも少し知ってみると、案外悪い奴じゃないな、とも思う」
それを聞いて、小夜香は嬉しそうに笑った。
「よかった。兄様と槐が仲が悪いのは、あんまり嬉しくなかったもん」
「仲が良いかと言われると、ちょっと難しいけれどね」
「いいの。あのね。秋人兄様と槐は、本当はけっこう気が合うと思うの」
「そうかなぁ……」
「うん。あのね。来年の春になったら、私、あの山桜のある丘に行きたいな。兄様と槐と、三人で。あそこね、私の、特別な場所なの……」
それまで話していた小夜香が、急激な眠気に引きずられるように言葉を途切れさせた。瞼を閉じて、そのまま顎が落ちかける。
はっとしたように、薄い瞼が開いた。だがその眼は、眠くてたまらないように開ききらない。
「小夜香。無理をしないで休んでおいで。話したから、少し疲れたんだろう」
小夜香の眼が、ひどく不安そうに宙を彷徨う。一瞬秋人の姿を見失っていたような黒い瞳が、その姿をとらえて、泣きそうに顔を歪めた。
「……眠りたくないの。眠るのが、こわいの」
黒い瞳が、強い眠気のせいではない潤みを帯びる。その細い指が何かに縋るように持ち上がったのを、咄嗟に秋人の手がとらえた。
「小夜香」
「眠ると、死んじゃいそうなの……もう次は、眼が覚めないんじゃないかって。眠りたくないのに、すごく眠いの……こわいよ、兄様……」
小夜香の頬に、こらえることも出来ないように、涙が次々に零れる。そうしながらも、睡魔に抗えないように、その顎がことりと落ちた。泣きながら、小夜香は眠りに落ちていた。
眠りは深いようで、小夜香は眼を覚ましそうになかった。その額に手をふれさせ、頭をゆっくり撫でて、秋人はそっと指をひいた。
「……小夜香……」
なんとしても助けたい。もう何度目かも知れない思いがこみあげる。既にもう血の繋がった妹も同然である小夜香。そして、今も心の奥に住まわせ続けているひとの、大切な妹。
最悪の事態になっても、槐は小夜香だけは助けると言った。それについてはありがたくは思う。しかし、その状況を善しとしたいわけではなかった。
自分が助かったとしても、すべての住民ごとこの里がなくなってしまえば、小夜香はどれほど心を痛めて泣くだろう。槐がそばについていれば、きっと支えてはくれる。だからといって、そんな生涯に渡って残るであろう傷を、小夜香に負わせたいとは思わなかった。小夜香だけは助ける、というのは、本当にもうどうしようもないときの、あくまでも最後の手段だ。
小夜香を助け、その上でこの里も守る。それができなくては、本当に小夜香を救うことにはならない。
「必ず助ける。だから安心しておやすみ、小夜香」
ひっそりと、あらためて誓うように呟き、秋人は最後にもう一度、小夜香の頭を撫でた。
今でも変わらずに愛しい、かけがえのないただひとりのひと、小夜音の面影を宿す少女。小夜音がいなくなってしまってから、この小さくひたむきな明るい少女に、どれだけ救われてきただろう。
自分よりもずっと幼い、強く見えてまだ脆い、まだ支えてやらねば危なっかしいような小夜香がいなければ。彼女を支える、という役割がなければ、秋人はここまで歩いて来られなかったかも知れない。
──今度は自分が小夜香を救う番だ。
秋人は静かに立ち上がり、眠る小夜香を起こすことのないよう、そっと部屋をあとにした。
小夜香に何かあればすぐに対応できるよう、その寝所の隣室に適当な寝具を持ち込んで、秋人はそこでしばらく仮眠をとった。疲れ切っていたせいか、横になって眼を閉じた途端、吸い込まれるように眠りに落ちていた。
そんな具合だったから、次に眼を覚ましたときには、しばらくぼんやりとして状況が把握できなかった。やがて仮眠をとっていたことに思い至ると、一瞬で眼が醒めて跳ね起きた。
眠りすぎてしまったかと、慌てて窓の外を見る。幸い、まだ空は明るかった。だが空全体に、黄昏の気配がかかり始めている。
この季節にもなると、日没は格段に早まっていた。慌てて秋人は起き上がり、小夜香が変わりなく良く眠っているのを確認すると、軽い身繕いをしながら部屋を出た。
「あら、秋人さま。お出かけですか?」
「うん。ちょっと颯介に会ってくる」
一日でも、僅かな時間でも、無駄には出来ない。こうしている間にも、いつ蛇神が蘇るか分からない。それにもうじきに、また夜が来る。夜になれば蛇神にまつわるものが活発化して、この社殿はまた、うかつに外を出歩くこともできない状態になる。
なんとか完全な日没までには戻って来ようと、秋人は社殿を出た。
里の集落の方へと歩いていきながら、先程の寝所で小夜香が言っていたことを、秋人は思い出していた。「来年の春になったら、槐と秋人と三人で、山桜のある丘に行きたい」──という話を。
小夜香が自然に思い描くその風景の中に、颯介はいない。残酷なことだが、小夜香にとって颯介は、「家族」になれるほどの近い位置には居ない。
颯介が小夜香に想いを寄せていることを、秋人にはずっと知っていた。それこそいつの頃からなのか分からない。自分と颯介と小夜香は、会えば軽口を叩き合い、賑やかにふざけあう、気心の知れた友人同士だった。秋人と颯介は歳も近く、幼なじみだったから、それこそずっと一緒に育ち、一緒に大人になったようなものだ。
その中で、いつの間にか颯介は、小夜香を他の少女達とは違うものと思うようになっていた。それをずっと知ってはいたけれど、あえて余計な手は出さなかった。颯介がそれを望んでいなかったからだ。
「あいつもまだてんで子どもだしさ。もうちょっとして、そういう話ができるようになるまで待つよ」
そんなことを、いつだったか颯介は言っていた。あれで颯介は、本当に小夜香のことが好きだったのだ。自分よりもだいぶまだ歳下の、まだまだ子どもの小夜香が成長するまでは、大切に見守ろうと考えるほど。
だけれど。
「……面白くなくて当然だよな。颯介にしてみれば」
突然現われた、しかも正体もよく分からない妖に、ずっと大切に思っていた少女を横取りされたようなものなのだから。あんなふうに感情的になってしまっても、無理も無い。そうは思う。
歩きながら、ふう、と秋人は嘆息した。秋人も、色恋沙汰がそれほど得意なわけではない。ましてこんな状況になってしまった友人の傷口を刺激するようなことを、本当はしたいわけではないが。
「でも、このままにはしておけないんだ……」
颯介にとっては甚だ面白くないだろうが、里長の息子として、いずれはこの里を纏める立場にある者として、どうにか私情を切り離してほしい。颯介があの調子では、里の誰も槐などを信頼してはくれない。
龍神信仰の虚偽については、龍神が里の人々の支えになっている以上、このまま秘匿し続けるつもりではある。蛇神については、ただ恐ろしい化け物が顕われたことにして押し切るしかないだろう。そうと知らなければ、誰も蛇神と龍神信仰の真実を結びつけたりはしないはずだ。
だがそうするにしても、蛇神が顕現すれば、人々の動揺と混乱は避けられない。被害を最小限に抑えるため、こちらの主導で蛇神を解放するとしても、事前に人々を避難させておく必要がある。
何より、もしも里を棄てて皆で逃げなければいけなくなったとき、颯介の理解がなければ、とても事はうまく運ばない。
せめてもっと時間がほしかった。だが現状は、ここで足踏みしている余裕を与えてくれなかった。
様々な思いを胸の奥に押しこめ、秋人が里長の屋敷を訪ねると、しかし颯介は留守にしていた。
「いない? 道すがらの、祭りの跡でも見かけなかったけれど。何処に行ったかは分かる?」
訊ねると、対応に出てきた下女は、何やら非常に気まずそうな顔をした。
「……これ、言ってもいいんですかね。あの、本当はいけないことだと思うんですけれど。私達も、颯介様がどういうお考えなのかは分かりませんし。……本当は止めた方が良かったのかもしれないんですけれども」
やけに奥歯に物の挟まった言い方をする下女に、秋人は眉を顰めた。
「……よく意味が飲み込めないんだけれど。どういうことです?」
やや強い口調で促すと、言いづらそうにしながら、しぶしぶというように下女は口を開いた。
「あの……本当に申し訳ありません。怒らないで下さいましね、秋人様。颯介様は、その……湖の神島に行くと仰っておられました。あの、何かご用事があるとかで」
言われた意味を、しばし秋人は理解できなかった。やがてようやく意味を飲み込み、愕然と眼を見開いた。
「──なんだって?」

