「メビウスの蛇」あとがき

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「メビウスの蛇」本編は、これで完結になります。

ちょっと小難しいような「国と国」みたいな事も絡むこのお話、どこまでそういう要素を出していいのか微妙に苦心しました。
私個人の好みで言うと、歴史モノ、戦記モノといった系統は本来大好物で、ガチガチにそっち系のネタを絡めるのも当初は一案にありました。
元々ひとつの世界設定として構築済みの背景だったので、今回のお話では名前すら出ていない国も多く。しかしそういう系統のネタの比率の方が大きくなってしまうのは、何かサイトの趣旨として違う気もする。ということで、結局こんな具合になりました。

ラストをああいう「それっぽい追記」で締めることに合わせ、レインスターの王様の取り扱いにも、けっこう悩みました。
「きちんと描写のある登場人物」として登場させるか、「名前だけの登場なのに超重要な人物」という位置づけに徹するか。
結局ウェルディア王が未登場を貫いたのは、拍子抜けした方もおられるだろうと思うのですが、「その後の顛末みたいな追記部分と絡め、想像の余地を大きく残す」というのを一度やってみたかったのです。「王都まで行っておいて結局出てこないのかよ!」と思った方には申し訳ないです。

番外編について。
「本編に含めるか、番外編に分けるか考え中」としていた部分は、「皇子がユアンを連れて自国に帰り、再会後やっと落ち着いていちゃいちゃできるようになった時のお話」という、いわばいちゃらぶエピソードです。
結局本編に含めなかった理由としては、
・この部分はなくても物語は成り立つ(むしろないほうが全体のまとまりが良い)
・入れるとやたらと完結まで延びる
・番外編にいっそ分けた方が、本編と違うムードで書けて良い意味の差別化ができる
といったところです。
ただ、「確かに無くても物語としては成り立つ部分だけど、そこまで書いた方がなんか『二人のお話』として最後にしっくり落ち着く」気はするので、どちらにしてもそのへんまで書こう、というのは確定していました。
ちょっとすぐには書けなさそうで、更新は来年以降、それも相当経ってみんな忘れた頃にぽろっとくる可能性も高いのですが、もしそのとき「あ、そういうえばこんなのがあったな」と興味を持っていただけたら嬉しいです。


以上、長くなってしまいましたが、後書きでした。
なかなか思うようには書けず、また不格好な作品ではありますが、にも関わらずここまで読んで下さった方、本当にどうもありがとうございました。
フィロネルとユアンの物語を少しでも気に入って下さり、楽しんでいただけましたなら幸いです。


ねこたま

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