「夜明けまで」あとがき

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「妖は宵闇に夢を見つ」の後日談として書き始めたこのお話。
だいたい10万文字くらい、の予定を大幅に超過することはなく、どうにかやっと、完結させることができました。

「一度死んだものが甦る」というのは、ファンタジーだからこそ許される展開だと思っています。
ファンタジーだとしても、基本的には簡単に扱ってはいけない、採用してしまうとお話の緊張感やファンタジーなりのリアリティが大きく損なわれかねない、タブーに近いきわどいネタ。

私の中では「妖~」の時点で、「葵の死=呪術的なもので物理的な死ではない」というのが頭にありましたが、読んで下さった方々にとっては、そうはいかなかったと思います。
良かれ悪しかれ、「妖~」は、あそこで物語としてきっちり「完結」もしています。
ゆえに、この後日談を表に出すべきかやめるべきかは、とても悩むところでした。

「妖~」から引き続いて読んで下さっている皆さんの反応が、正直恐かったのですが、幸いにも現時点でいただいている感想は、おおむね好意的なものばかりです。
それらを拝見し、思い切って表に出してみて良かったと思いました。
この場を借りて、お礼を言わせてください。
皆様、ありがとうございます。

しかし中には勿論、「ないわー」と思う方もいると思います。
好意的なものも、否定的なものも、感想はそれぞれにとてもありがたいものです。
もしよろしければ、一言でも、忌憚の無い感想を寄せていただければ幸いです。

この後のシリーズ展開について。
「妖~」本編に連なるお話としては、今回の「夜明けまで」で完結となります。
が、あと1編だけ、「これを表に出さねばこのシリーズは完結しない」と思っているお話、いうなれば「長様のちび夜光育成日記」とでもいう内容の短編があります。
こちらは近日中に、上げることができたら良いなと思っています。
本当にただの育成日記で、内容的にはとくに山も谷もない淡々としたものですが、私自身はとても気に入っている一篇です。
更新の際には、よろしければ覗いてやってください。

あとは、いくつかおまけ的な短編を構想中です。
というのも、構成上の問題で「夜明けまで」ではふれることのできなかった、あのキャラやあの子達の後日談が、まだ宙に浮いているからです。
本当に短いものになると思うのですが、そのあたりも最後に加えられたら良いなと思っています。

「妖~」シリーズ、いうなれば「夜光の物語」としては、実はまだいくつか残っていたりします。
たとえば過去話で、夜光が「花」になった頃のお話とか。
表に出すか出さないか迷っているのですが、あるとき唐突にひょいと上げることもあるかもしれません。
そのときは、興味があれば覗いていただけたら嬉しいです。

長くなってしまいました。
「妖~」本編のスタートからここまで、3年もかかってしまいました。
にもかかわらず、このお話をずっと追っていて下さった方々。
感想を下さった方々。
ここまで読んで下さった方々。
本当にありがとうございました。
夜光の最後のモノローグではありませんが、私はとても幸せ者です。


2020.07.05.ねこたま

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