夜明けまで 後日談

夜明けまで 後日談

「夜明けまで」あとがき

「妖は宵闇に夢を見つ」の後日談として書き始めたこのお話。だいたい10万文字くらい、の予定を大幅に超過することはなく、どうにかやっと、完結させることができました。「一度死んだものが甦る」というのは、ファンタジーだからこそ許される展開だと思って...
夜明けまで 後日談

夜明けまで (終)

「さて。呑もうか」 夜光と葵が部屋を出て行くと、槐が徐おもむろに言った。「おまえの積もる話というのは、それですか」 脇息に凭れたまま、長が呆れた息を吐く。「うむ。やることをやって清々せいせいしたからには、次にやることは当然呑むことだろう?」...
夜明けまで 後日談

夜明けまで (十九)

「よし。話は丸くおさまったようだな」 話が一段落したところで、それまで黙って様子を見守っていた槐が立ち上がった。若干人の悪く見える笑みを、にやにやと浮かべている。「空の奴がまだ拗ねているようなら、俺が一肌脱がねばなるまいと思っていたが。さす...
夜明けまで 後日談

夜明けまで (十八)

 正午になる少し前。「私の離れに来るように」との、長からの言付けがあった。 勿体つけたところのない長は、普段は自ら気軽に動き回り、用事があるときは自分から姿を現すことが多い。ゆえに「呼び出される」というのは珍しく、夜光と葵は少し緊張して、長...
夜明けまで 後日談

夜明けまで (十七)

 葵が目を覚ます前に、夜光はそっと寝床を抜け出した。 最玉楼では、常に湯殿が開いている。夜光は早朝のうちに湯浴みをし、身繕いを済ませた。 葵に似合いそうな、爽やかな薄藍の長着一揃いを借りてきて、まだ目覚める様子のないその枕元に置いておく。 ...