妖は宵闇に夢を見つ 蓬莱編 花衣に眠る (三) 露店の主──源爺と葵に呼ばれた老爺は、ひとしきり号泣すると、こうしてはいられないとばかりに露店を片付け、二人を自身が住まう家へと案内した。 夜光には葵と老爺との関係は分からなかったが、葵を「若」と呼び、葵もまた「源爺」と呼んだそこに、察す... 2022.10.24 妖は宵闇に夢を見つ 蓬莱編花衣に眠る
妖は宵闇に夢を見つ 蓬莱編 花衣に眠る (二) この人里は、街道沿いから少し入った先の、連なる山嶺の裾野にあった。山を下ってくる豊かな清流から水を引き、あたりには広々とした農耕地が広がっている。 なんでも昔、たいそう桜好きな領主がいたそうで、里の随所に桜が植えられている。あの高台の御堂... 2022.10.24 妖は宵闇に夢を見つ 蓬莱編花衣に眠る
妖は宵闇に夢を見つ 蓬莱編 花衣に眠る (一) 境内の長い古びた石段を登っていくうち、少し眠たげな色の青空に、風に巻き上げられた桜の花びらが舞った。 「あ」 頭からかぶった白い被衣(かつぎ)を押さえながら、夜光はそれを目で追いかける。残りわずかだった石段を登りきった先で、その色の淡い唇... 2022.10.07 妖は宵闇に夢を見つ 蓬莱編花衣に眠る