夜明けまで 後日談 夜明けまで (一) 夢のように穏やかで美しい、御伽草紙の中に出てくるような、その街──終の涯は、今年も麗しい春を迎えていた。 煌めく波頭にも似た、連なる甍いらかの美しい街並みを彩る、色とりどりの春の花。街中を、あたりの野山を埋め尽くす、夢幻のような桜花の群れ... 2020.08.08 夜明けまで 後日談
夜明けまで 後日談 夜明けまで (序) それはほろほろと花の薫る、いつかの春の宵。 開かれた半蔀から、凶報の使者は、その夜突如として長(おさ)の館に飛び込んできた。 長の前で力無く床に墜ち、息絶えた使者──純白の翼を持つ梟は、かつて旧友の肩で見た美しい姿を咄嗟に思い出せないほ... 2020.08.08 夜明けまで 後日談