cats and dogs 朔の章 第一のパンドラ(2) ……それでも、駄目だったのだ。自分では。 打ち棄てられた廃都の瓦礫の中を歩きながら、こらえようもなく、熱くなった目の奥から押し出されてくるように、涙があふれた。 しょせん実の子供ではなかったから。血筋は勿論、家名も財産も、それは他人の自... 2020.08.08 cats and dogs
cats and dogs 朔の章 第一のパンドラ(1) ……自分に弟が生まれたのは、半年ほど前の冬の朝。 子宝に恵まれなかった「両親」の間に子供ができた。それは、自分にとっても心から嬉しいことだった。 病院に駆けつけて、正直到底可愛いとは思えない生まれたての赤い嬰児を見て、なのに不思議と自然... 2020.08.08 cats and dogs
cats and dogs 朔の章 序のパンドラ 帰ったらさっさと今日の分の勉強をやって、ちょっとだけゲームの続きもやって、部活が休みの分走って自主トレして、それから寝る前には彼女に電話して、……などとこれからの予定をぼんやり考えながら無防備に歩いていた腕を、朔サクはいきなり引っ張られた。... 2020.08.08 cats and dogs