Candy Vamp

Candy Vamp

悪戯 -後-

フルーツのような甘い芳香が漂う中、天蓋から下がった紗幕をよけて寝台を覗き込んだアルドは、そこに転がっていたミルの姿を見つけた。 外出から戻り、家令からミルが随分寂しがっていたようだと言われて寝室に足を運んでみたのだが、ミルは幼い子供のように...
Candy Vamp

悪戯 -前-

ふわふわした心地良い感触の中で、ミルはゆるい寝返りを打ちながら目を覚ました。「ふぁ……」 目を開くと、薄紫の豪華な天蓋つきの寝台の中だった。 身体の上には何もかかっていないけれど、暑くも寒くもなくて丁度良い。「んー……きもちいー」 肌にふれ...
Candy Vamp

孵化 -後-

「ひゃっ」 つうっと薄い脇腹をすべったアルドのしなやかな指先に、少年が驚いたような声を上げた。アルドは構わず、少年のいかにも皮膚の薄い、きめの細かい素肌に指を這わせてゆく。「ひゃ、あんっ……くすぐったいっ。あ、んっ」 少年は全体に細身ではあ...
Candy Vamp

孵化 -中-

瞳が開かれると、少年の印象がまた大きく変わった。 くっきりと二重で、綺麗に反った睫毛に縁取られた、とろりとした色香を帯びる大きな瞳。未完成で危うげな、そこが妙に情動を煽るような潤いが、印象深いローズクォーツの瞳には宿っていた。 少年は初め、...
Candy Vamp

孵化 -前-

紫闇の貴公子、暁闇の宝玉、などと仰々しく呼ばれる悪魔アルドの目下の悩みは、気に入りの夜伽兼小姓がいないことである。否、いるにはいたのだが、先日触手をたからせたまま三日ほど放置しておいたら、こちらが出かけている隙をついて逃げ出していった。「魔...