cats and dogs

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蓮の章 第六のパンドラ(2)

レンのベッドの下には、ローションの容器やらコンドームやら雑誌やらハンドグリッパーやら工具やら用途不明のガラクタやらと一緒に、拳銃が無造作に放り込まれている。 「かっこいいな、これ」  あるときそれを引っ張り出して、サクがベッドに座ったまま眺...
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蓮の章 第六のパンドラ(1)

サクが熱を出した日から、その身体から包帯がほどけて傷に薄皮が張る程度には、日が経っていた。  どうやら自分とのことが原因でサクは「飼い主」に折檻されたようだったから、会っても大丈夫なのだろうかとレンは案じていたのだが、サクはあっさりと「あん...
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蓮の章 第五のパンドラ(3)

顔をあわせるなりショルダーバッグを振りかぶられ、それを容赦のない力で肩口に振り下ろされて、サクはよろめいて床に倒れ込んだ。女の細腕とはいえ、思い切り勢いをつけて硬いそれを叩き付けられては、さすがに平然とはしていられなかった。 「最近おいたが...
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蓮の章 第五のパンドラ(2)

それからちょくちょく、レンはサクという少年と関係を持つようになった。  サクはレンと初めて会った薄汚い路地あたりにふらりと現れることが多く、そしてレンもそのあたりにいることが多かった。申し合わせるでもなく、顔を合わせると当たり前のようにどち...
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蓮の章 第五のパンドラ(1)

うわ、と思った。初めて「その姿」を見たときに。 (なんだ、こいつ……)  廃都の一隅。冬晴れの空の下、少年少女達、あるいはもう少し年かさの連中が、いつものように退屈そうに、面白いことを探すようにたむろっている一角。  自分とほぼ同じか、やや...