cats and dogs

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蓮の章 第七のパンドラ(2)

さすがに直射日光がつらくなってくると、粗末なベッドを日の当たらないところまでずらした。それでも大きな窓から空を見上げることは、変わらず容易だった。  からりとした初夏に近い風が、開け放された大きな窓から流れ込んでくる。  あまり物の置かれて...
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蓮の章 第七のパンドラ(1)

突然レンの前に姿を現したあの夜から、サクはレンの部屋に居つくことになった。というよりも、朝になって出ていこうとしたサクを、レンが有無を言わせずに引き止めた。  昨夜あれだけの目にあわされていながら、起きたらレンは何事もなかったようにけろりと...
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蓮の章 第六のパンドラ(5)

すっかり日が落ちた後の廃都は、まともな街に比べて光源が極端に乏しい。満ちる闇も、より濃密に街角を埋め尽くす。  蛍光灯が切れたままになっているレンの部屋は、かわりにLEDランタンで照らされていた。   一向に現れず居場所も掴めないサクを案じ...
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蓮の章 第六のパンドラ(4)

サクはアリサを引っ張って奥のベッドルームへ移動し、天蓋つきの大きなベッドにアリサを突き飛ばした。  サクがその気にさえなれば、細く華奢なアリサの身体を意のままにすることなど簡単だった。暴れるアリサの上に馬乗りになり、その肩を押さえつけて、艶...
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蓮の章 第六のパンドラ(3)

サクが突然姿を現さなくなった。  今までもそう連日現れていたわけではないが、突然ぱったりと、何の前触れもなく姿を見せなくなったことは、否応なしにレンに悪い予感を抱かせた。  サクの身に何か良くないことが起きたのではないかと思うと、いてもたっ...