cats and dogs

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朔の章 第二のパンドラ(2)

女はぽかんとした顔をしていた。やがてゆっくりと、あでやかに微笑む。 「……ふぅん?」  女はスリットの深いスカートから覗く肉感的な脚を優雅に組み替え、膝に頬杖をつく。真っ白い指先に、磨かれてごてごてと彩られた赤いネイルが光った。 「近頃の野...
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朔の章 第二のパンドラ(1)

泥のように夢も見ずに眠り、次に目を覚ましたときは、窓の外は明るくなっていた。  だが正確な時間が分からない。見回しても時計がない。  そういえば廃都に入ってから一度も時計の類を見ていないことに、今頃気付いた。普段は腕時計を使わず、携帯電話を...
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朔の章 第一のパンドラ(5)

その部屋の隣にはシャワールームがあり、サクはそこに連れ込まれた。  温水などというしゃれたものは廃都にはないらしい。朦朧としかかったままシャツとズボンと下着を剥ぎ取られ、頭からいきなり冷水のシャワーを浴びせられて、サクは文字通り飛び上がりそ...
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朔の章 第一のパンドラ(4)

そこはどうやらカズヤの住居のようだった。  住居といっても、廃ビルを利用しているだけ、しかも仮住まいのように調度品なども最低限なので、これが住居とは思えないほど殺風景だ。床も壁も古びて汚れたコンクリートが剥き出しで、どこから運び込まれたのか...
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朔の章 第一のパンドラ(3)

歩きながら、カズヤと名乗った男はサクに質問した。どこで生まれ、どこから来たのか。いつこの廃都に、どのようにして入ったのか。所持品はあるのか。学校には通っていたのか。特技や学校の成績は。家庭環境は。  まるで職務質問にあったようだったが、カズ...