妖は宵闇に夢を見つ

夜明けまで 後日談

夜明けまで (十四)

 槐の漆黒の袖が翻り視界を覆った、と思ったら、次に目を開いたときには、夜光と葵は見覚えのある縁側に立っていた。最玉楼の裏手の一角にある、夜光の部屋の前だった。 「空の奴はああは言ったが」  槐は葵を見やり、縁側に差し込む月明かりの中、黒...
夜明けまで 後日談

夜明けまで (十三)

 陵の言葉を聞き、気が逸るあまり最低限の挨拶だけをしてその場を駆け出してしまった夜光だったが、そこを苦笑まじりに長につかまえられた。  長に手をつかまれたと思ったら、足許がふわりと頼りなく浮く感覚がした。夜光は軽い眩暈に、思わず目を瞑った...
夜明けまで 後日談

夜明けまで (十二)

 黙って陵の言葉を聞いていた夜光が、透ける紫の瞳を瞠った。その言葉の意味を夜光が受け止めて理解するには、しばらくの時間がかかった。 「贄となった者たちが、甦る……?」  その様子を、陵は深く魂魄まで見透かすように、ただじっと見つめた。 ...
夜明けまで 後日談

夜明けまで (十一)

 そこは最玉楼の本館からは少し離れた、長の離れと同様、美しい遣り水と庭園に囲われた一棟だった。  特別な貴賓を迎えるための紫水殿は、赤紫の夕暮れに染まる空の下、幾つもの釣り燈籠に照らされている。澄んだ遣り水に無数の燈あかりが映り込み、建物...
夜明けまで 後日談

夜明けまで (十)

 それから長は、夜光を自分の住まう小御殿に招いた。  夜光はこの最玉楼にやってきたばかりの頃は、長と共にこの小御殿で暮らしていた。長は夜光に、かつて夜光が使っていた部屋をあてがい、しばらくこちらで共に暮らすように、と申しつけた。  長と...