cats and dogs

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蓮の章 第八のパンドラ(3)

二人はまだ陽が高くないうちに、歩いて部屋に帰った。無我夢中でサクが走り抜けた距離はかなりのものではあったが、しばらく歩けばじきに帰り着いた。 に帰り着いた。 「あーもうマジで。昨夜はどうなることかと思ったぜ」  あっけらかんと言いながら、レ...
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蓮の章 第八のパンドラ(2)

全速力で走っていくサクを追いかけるのは、とんでもなく難儀だった。  ストッパーが壊れたように速度をまったく落とさないその後ろ姿を、レンは曲がり角のたびに見失いそうになる。サクが夕闇の中にも浮き上がって見える白いシャツを着ていることが救いだっ...
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蓮の章 第八のパンドラ(1)

サクが消えたことに気付くと、今度はレンは、迷いもせずにサクを捜して廃都を飛び回り始めた。  ほんの一瞬の油断だった。本当に、ほんの数分。おかしな物音がすればすぐに飛び出していける程の距離。  だが何の騒ぎもなく、たったそれだけの空白のうちに...
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蓮の章 第七のパンドラ(4)

ある一室に着くと、黒服達は引き払っていった。  大きなその部屋は、確かに個人的なオフィスルームといえなくもない様子ではあった。だがそれにしては、絨毯は毛足が長すぎ、置かれている調度品もどれもこれも豪華で金がかかりすぎていた。  エヴァンと名...
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蓮の章 第七のパンドラ(3)

やたらと手馴れた様子でレンは荷物をまとめ、サクにも分けてそれを持たせると、転がる死体を一瞥だにせずに部屋を出た。  他にもいくつか、最低限生活できるだけの部屋はあるのだと言われ、サクは驚く。こんな状況で口笛交じりに夜道を歩いていくレンの後ろ...